2013年度第3回研究会

2013.7.12() 18:00-19:30協生館4F 階段教室4

コール市場の資金取引ネットワーク

今久保 圭(日本銀行)・副島 豊(日本銀行)

 

講演概要

 コール市場の資金・決済の流れは近年大きく変化してきた。本稿では、ソーシャルネットワーク分析手法を活用し、日銀ネットの決済データを用いてコール市場の取引構造の検証を試みた。その結果、コール資金の流れは、短資会社がハブとして仲介役を果たすスター型ネットワークから、他の様々な経路が存在する分散型ネットワークに変化していることが確認された。分散型ネットワークにおいては、一部の業態から構成される中核的ネットワーク(コア)が形成されていること、コアの構成員はネットワークの周辺に対するハブになっており、これにより資金取引ネットワークの殆どが平均23ステップで繋がっていること、周辺には特定の集団でクラスター化した部分が存在するほか、コアに対するリンクが強い先、弱い先など、多様なネットワーク構造が存在することが観察された。こうしたネットワーク構造はシステミックリスクの観点から重要である。流動性ショックがコール市場全体に伝播していく、あるいは逆に吸収されていく過程は、ネットワークの構造に強く依存すると考えられる。

 

論文へのリンク

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2008/data/wp08j16.pdf

 


日本金融・証券計量・工学学会

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