13回研究会

2016.2.5() 18:00-19:30協生館4F 階段教室1

ネットワーク理論を応用した相関クラスタリングによる株価の自動分類

磯貝 (日本銀行)

 

講演概要

  今回の発表では、株式の個別銘柄間の価格変動の相関構造をネットワークとみなし、ネットワークの分割手法を用いて従来の産業別銘柄分類とは異なる銘柄分類を提示する研究の概要を紹介する。株価に代表される金融資産の価格変動は、極端な変化が高い頻度で発生するという意味でファットテイル性を有しており、多数の銘柄間の相関構造を把握する際にも技術的に難しい問題につながっている。本研究では、東京証券取引所1部上場銘柄のうち約1400銘柄を対象に、多変量ボラティリティ変動モデル(GARCH)を用いて株価変動をモデル化し、推定した残差系列から相関行列を計算した。この相関行列をネットワークとして捉え、ネットワーク理論の手法を用いて最適な分割を探すことで新たな銘柄分類を得ている。この新たな銘柄グループと既存の分類を統計的に比較し、二つのカテゴリーの間にどのような関係性が存在するのかについても評価している。さらに、株式ポートフォリオを生成するシミュレーション分析を行い、新たな銘柄分類がより柔軟なリスクコントロールを実現し得る可能性も示す。

 


日本金融・証券計量・工学学会

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